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五月の席

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2009年 6月 1日(月)00時33分55秒
  一年で寒くもなく暑くもないのは五月寄席だけです。
冷暖房付きの席ではその有り難さが遠くなったかも知れません。
以前の席なら季節を感じないわけにはいかなかった・・・と昔を懐かしむようでは駄目ですが、季節を感じなくなったらお酒も旨くない。せめて噺の中身で季節を想像しましょう。

夢朝さんは伸び盛り。ソバの食べ方はもう立派なものです。それにしても沢山食べたな。

平治さんを聞いたのは初めてでした。随分口跡のいい人だと思っていたら、講釈師の真似がでて、これは本物以上でした。こういう決め技があると、それを土台に使っていろんな枝葉を伸ばしていけるから聞いていて安心です。安心して笑えます。大いに笑いました。

そういう芸が出来るのだから、業界の先輩同僚をネタにして笑いを取らなくてもいいと私は思います。たとえお客に受けても、控え目にする方がいいですね。おまけにとんでもない遠方から遙々持ってきてすとんと落とす見事な枕を連発する構想力もあるのだから、尚更です。既に十分に真打ちの力を発揮しているけれど、もっと先が楽しみな噺家さんだと思いました。

みそなはせ 憂き世も 枇杷の 色かたち





夢朝さん、伸び盛り。
 

修業の成果

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年12月 8日(月)02時05分35秒
  今年最後の中目黒寄席が終わりました。

数年前、あの足許手許も定まっているとは言いにくかった青年鯉奴さん、名前も鯉橋と大きくなり、立派な噺家さんになって帰ってきました。師匠の芸風がにじんでいて、気合いの入った修業が偲ばれます。嬉しいですね。鯉橋さんが成長している間、こっちは年を食うばかりで恥ずかしいことです。時そばの落ちの仕込み、お見事でした。

柳好さん、気持ちがいい噺家さんですね。落語の話には桁外れな人物が多いのに、柳好さんが演じると、手の届くところに等身大の人物が現れるようでした。この浮世、どっちを向いても口先ばかりでとげとげしい。寄席にきてほっと救われた気持ちになるのは、掛け値なしの心がこもった話を聞けるからで、柳好さんはそう言う話のエキスみたいなお人柄と見受けました。子守歌代わりに落語を聞いて育った人かな。

今年は三十周年記念興行も無事済んで、いい年でした。では春席までお元気で。

三日月の細さを泣くか寒烏
 

三十周年おめでとう

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年10月18日(土)20時01分3秒
  おめでとうございます。
三十年前というと、鯉八さんも夢吉さんも未だ生まれていなかった。
山も谷もあったでしょう。それを乗り越えてきた中目黒落語会の記念公演。
我らの鯉昇・扇遊さんに異色の喜多八さんが加わって、なじみの噺を安心して楽しみました。

これまで続けられた要因を、席亭さんが数え上げました。
どれもなるほどと思いました。なかでも今は亡き目黒銀座会館が、老骨にむち打ってこの落語会を文字通り支えてくれたことが語られて、落語の世界そのままの背景だったなあと思い出しました。席亭さんの挨拶は、三十年という歳月がこもったいい話でした。

それにしても、全ての要素を引き出した古典落語の世界のすばらしさ。
子供も入っていける楽しさ。後期高齢者もしんみりする懐かしさ。
噺家さんの才能も人柄も修業の年期も、人間の全てが掛け値なしに出る稀な世界。

人生の限られた時間と空間の中に、そう言う世界を確保してくれた中目黒落語会に、お祝いとお礼を申します。そして次の三十年を楽しみにしています。

苦も楽も また繰り返せ 三十年
 

夏席すっきり

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年 8月 9日(土)22時55分32秒
  あの暑さにめげず、行列まで作って中目黒寄席夏席に来たお客さん、ちょっと雰囲気が中目黒会館時代に似ていたような気がします。いい時代のいいお客さんでした。

こみちさんの「奴さん」はよく決まっていたなあ。
軽い踊りのまんま、節目節目の姿が絵になっていた。
噺も筋の運びが綺麗で、爽やかでした。
女性が落語を演じるのは、素人考えではさぞ難しいだろうと思って、始まるまで気になっていましたが、実に自然な話しぶりで、直ぐ安心して楽しみました。男でも女でも、良い落語を作ればいいんだと、当たり前のことを学びました。

燕路さんの「火焔太鼓」、細部に上手い工夫がちりばめてあって、盛大に笑い続けました。「癇癪」も、同じようにかみ合わない関係の夫婦物語。実家の親父さんの人柄をふくらませて、新派の人情話みたいな背景を描いてくれたお陰で、とても後味が良かった。

夏らしい輪郭鮮明な噺ばかりだったし、安易に楽屋落ちの話を並べることもなく、気持ちのいい夏席でした。

夏席を 出れば浮世の 人の波
 

梅雨入り

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年 6月12日(木)23時50分1秒
  燗酒と しばしの別れ 柿の花

梅雨寒の日でも、冷や酒の方が旨い季節となりました。5月26日を夏席と呼んだら、次回8月7日の呼び方が困る。梅雨席では意気が揚がらない。野暮だけど五月の席としておきましょう。

真面目に精進中の雷太さん、押し出しのいい小蝠さんの正攻法の噺のあとに、全く違う雰囲気の南々さんが高座に上ったとき、実は客席はあんまり静かじゃなかった。南々さんは、全身の力を抜いたとぼけた顔つきで、何か尋常でないことを話しているらしい。どうもよく聞こえないのが口惜しい。何の話だろうと、みんな聞き耳を立てた。いつの間にか場内は静かになって、次第に輪郭がはっきりしてきた噺に引き込まれて行ったのであります。お見事でした。

そして最後の話。座布団に着いてお辞儀をして顔を上げた途端に大声で番頭を呼び立てる旦那になっていました。何とも鮮やかな演出。

その後も、切ないような馬鹿げているような話を、行き届いたきめ細かな描写で運んで、大いに楽しみました。是非また聞きたい噺家さんです。

殆ど満員に近い入りでした。このくらいの人数で行くといいですね。
 

春席過ぎて

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年 3月 2日(日)13時27分55秒
  2月26日の春席、超満員。おめでとうございます。
入り口まで来て入れなかった人もいたとやら。会員さんでなくてよかったですね。
会員の切符を持ってても、遅い到着では入れないかも知れないとは、嬉しくも恐ろしい世の中になりました。

久し振りに子供の姿がありましたね。「明烏」、大丈夫だったかな。中入りで帰ったけれど、後半の一之輔さんの「夢金」を見て欲しかった。櫓の押し方も笠の取り方も堂に入っていて、見かけの若さからは思いもよらない安定感のある見事な話っぷりでした。押し出しも立派。

柳朝さん、新作ものを含めて、あれだけ盛り沢山の話題を喋って全くよどみがない。大変な能力ですね。言葉だけでなく、筋の運びも速い。上手な人がいるもんだと感嘆しました。このまま行ったらどこまで上手くなるか分からない。落語の将来は安心です。隠居の好みとしては、あれだけ上手いのだから、業界話はもっと切り詰めてもよかったと思います。

上出来の 噺を肴に 春の酒
 

今年も、よろ…

 投稿者:席亭気取り  投稿日:2008年 1月27日(日)07時11分58秒
  今年も中落はよろよろやってゆきます。
よろしく。
今年は、開席30年を迎えます。
秋には30周年特別公演も予定しています。

いつも皆様のお手伝いに深く感謝しております。
今年もご支援をおねがいします。

第89回のご案内の準備が出来ました。
会員の方には近々届きます。

木枯らしや舞い揚がらすな偽の文字
 

御慶

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2008年 1月 2日(水)16時59分14秒
  久し振りに、お正月らしい日和です。
それに先立つ年末はどうだったか。「睨み返し」や「尻餅」は、
生活保護も受けない貧乏人が、隣近所に助けて貰うどころか、
ご近所に見栄を張って、夫婦共々悪戦苦闘する話だね。
少なくとも夫婦だけは、必ず手をつないで頑張ったわけです。

今でも事情は変わらない。

最後の頼りは連れ合いだと言うことを、
とっくり教えてくれるのが落語だと、
改めてかみしめています。

噺家さんもお客さんも裏方さんも、
今年も元気で中目黒寄席で会いましょう。

木枯らしやいよよ待たるる寄席便り
 

冬席満員

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2007年11月21日(水)22時50分25秒
  冬席は木枯らし吹き初めの日。
出囃子が始まれば、寄席はあったかい。
八十八回目というのはやっぱり凄い。
前半だけだったけれど、久し振りに小学生が三人来ていました。

菊六さん、上手いね。少し優等生かな。
どんどん伸びて大化けしてください。楽しみです。

いつもながら扇遊さんは頼もしい。
ケチベエの次男演ずる葬式囃子は傑作でした。テンポが上がったところで見事に転調して、ぐっと趣きが出ました。あれは昔からの演出かしら。

冬席を 出れば額に 夜の雨
 

白魚

 投稿者:田舎の隠居  投稿日:2007年 6月18日(月)10時01分52秒
  夏席はほどよい入りで、新会場も、落語になじんできたのかもしれません。今度も子供がいなかったのが残念ですが。

この間弘前の居酒屋で、白魚を食べました。小さな器に入っていて、食べようとしたら、ちょろちょろ動きます。生きている。ははあ、三木助が『芝浜』の枕で言っていたあれだな、と思って、「おしたじが、おなかの中にツーッと入っていくのが見える」かと眺めたら、これが酢醤油だからよく分からない。ちょっと泳がせてみたかったけれど、盃洗などという気の利いたものはもちろんありません。じゃあ、食べるかと言ったって、あれを箸でつまんで一尾ずつ口に入れるのは、よほど度胸が要るものです。器の中身全部をエイッと流し込んだけれど、出来損ないのトコロテンみたいで、私はもう御免です。そう言えば三木助も、自分で食べた訳じゃないって断っていましたね。あれは本当にいい枕ですが、落語の世界だけのよさだと思います。そう言う世界を作り出す噺家さんの力量と言うことを、改めて考えました。

今度の秋席は繰り上がって、未だ暑い頃ですね。鯉昇さんが楽しみです。
 

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